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雑草ビール
ネコじゃらしビール

写真1 少し緑色かかったネコジャラシビール

2008年

 6月に収穫を終えたライ麦跡には今年もエノコロ草が繁茂しました。 昨年に続いて今年も、これを収穫して「雑草ビール」(ネコじゃらしビール)を造りましょう。

9月下旬、収穫するネコジャラシ 2008/9/25

ネコジャラシに負けない大豆が数本 2008/9/25

ネコジャラシの再収穫 2008/10/2
 9月25日に収穫したネコジャラシはガレージで天日乾燥していましたが、その後の雨天でカビがはえてしまったので即、廃棄しました。久しぶりに秋晴れとなった昨日、収穫作業をやり直しました。

一輪車のうえで叩く 2008/10/2
 畑のネコジャラシはよく熟して、一輪車のうえで叩くだけで脱穀できました。

一輪車のなかに獲た穀粒  2008/10/2
 脱粒(ダツリュウ)2割、一輪車から飛び出た穀粒1割、一輪車のなかに獲た穀粒2割、茎に残った穀粒5割くらい。スローな作業は贅沢を実感します。

この後、調製する穀粒  2008/10/2
 収穫作業はきわめてスローでしたが、今回はスロー調製をやめて、安易に製パン用のオーブンで乾燥。その後、小さい混ざりものを篩い、軽い混ざりものを飛ばして調製を完了します。今日収穫分のできあがり穀粒量2リットルを期待。

仕込み 2008/10/4 昨年の仕込作業

マッシング 2008/10/4 10:47
 糖化工程 砕いた穀粒に含まれるタンパク質を分子サイズの小さいアミノ酸に、澱粉をこれも分子サイズの小さい糖に分解してお湯に溶出させる活動。1時間、66度に保ち攪拌を続ける。

マッシュ 2008/10/4 10:51
 仕込鍋を覗く。なんと!マッシュがネコジャラシの色、緑色。ということは緑色のビールになるんですか。

マッシュを仕込鍋からろ過鍋に移す 2008/10/4 11:34
 糖化工程を終えたマッシュはお湯に溶出した成分を取り出すためにろ過鍋に移す。

ろ過 2008/10/4 12:20
 ろ過鍋から取り出した液体は麦汁。この麦汁は煮沸鍋で受ける。

煮沸 2008/10/4 13:44〜
 ホップを加えてさらに煮沸(右写真)。

ワールプール 2008/10/4 14:37〜
 煮沸を終えたウォートは澱をなべ底の中央部に沈殿させるために、ウォートを回転させる。これをワールプールという。

ウォートを移送 2008/10/4 15:05〜
 上澄みのウォートを酸素を巻き込まないよう注意しつつ、ケグに移送。

煮沸鍋の底中央に沈殿した澱 2008/10/4 15:30
 移送が終了すると澱が確認できる。澱の大半はホップ粕や凝固したタンパク質。

ろ過鍋に堆積した麦芽粕 2008/10/4 15:40
 ろ過鍋の最上部には微粉末の澱、その下には麦芽の外皮(籾殻)が層をつくって堆積する。

ろ過鍋から取り出した麦芽粕 2008/10/4 16:00
 麦芽粕は畑に還元する。

冷却中 2008/10/4 15:34〜
 ケグの中の麦汁をできるだけ早く発酵適温の20℃に冷やす。

酸素注入 2008/10/4 16:32〜
 麦汁が発酵適温になってから酸素を吹き込む。酸素は酵母が素早く増殖するために不可欠。

エアロック 2008/10/4 17:00〜
 酸素注入が済むとすぐに酵母を投入して、このエアロックを装着。エアロックとは言葉のまま、ケグに外部の空気を進入させない。
 以上で発酵準備まで含んだ仕込を終える。主発酵の期間はおよそ3日間。10月10日ころにサーブ開始できるか。発酵の推移次第。


2007年

 2007年は麦作予定畑にエノコロ草(ネコじゃらし)が大繁殖。せっかくだからこれを収穫して「雑草ビール」(ネコじゃらしビール)を造ることになりました。

大繁殖したエノコロ草 2007/9/21
 エノコロ草は雑穀・アワの原種です。
 それにたいして、こんにちのアワやキビなどの雑穀類は改良種だけあって比較的、栽培、収穫が容易だということが分かりました。長い年月をとおして、人間に都合の良い種を選別してきたのでしょう。  一方のエノコロ草は栽培向きではありません。なによりも、穂の粒が順次登熟するし、登熟すると脱粒します。つまり穂先を刈り取ろうとすると実が落下してしまうのです。キビも脱粒やすいですが、これほどではありません。たいへん手がかかります。

エノコロ草の刈り取り 2007/9/27
 上の写真のように葉や茎は緑ですがすでに3割方、実が熟して脱粒してしまっています。ショックを与えると実が落ちてしまうので丁寧に刈り取ります。

一輪車で運搬 2007/9/27
 脱穀機のある茅葺東屋まで運搬します。

脱穀作業 2007/9/27
 一応、脱穀機をつかってみたものの自己満足だけで意味がありませんでした。実はたたけば落ちてしまいます。

脱穀完了 2007/9/27
 このあと天日乾燥そして調製です。


写真右:小麦の穀粒 下:エノコロ草の穀粒(中央:割って白い澱粉を見る)

10月8日、仕込みを予定します。
なお、原料に雑草をつかうのを特徴とする酒類の醸造にかんする、酒類製造方法申告書はすでに平成16年9月15日に受理されています。

仕込み 2007/10/8

 設備は製粉機(やまびこ号)、19L鍋2個、8L鍋1個、ガスコンロ2個、5GソーダーKeg1本、Keg冷却容器、温度計、糖度計、Phメーターなどです。
レシピ
 製造量 15リットル
 スタイル 淡色ヴァイツェン
 原料 エノコロ草の穀粒1kg+二条大麦4EBC麦芽3kg
 ホップ ザーツType45(1'st10g 2'st10g)
 酵母 3068WeihenstephenYeast
 カラー 5SRM
 OG≒14Brix FG≒3.5Brix アルコール≒5.5%
 仕込法 インフュージョン(鍋底過熱+熱湯投入=66度60分→70度30分→77度)
 煮沸 鍋底過熱90分間
 発酵温度 20度(10月8日〜12日)
 熟成温度 23度(10月13日)
 10月14日完成予定

ミルに投入
 調製したエノコロ草の穀粒1kをミルに投入して挽き割りします。
挽き割り中   挽き割り終了
 ミルは製粉機=「やまびこ号」
仕込み開始
 仕込み鍋に、71度の湯と麦芽を投入。
エノコロ草を投入   エノコロ草の投入終了
 仕込み鍋に、挽き割りしたエノコロ草の穀粒を投入。
糖化
 1時間、66度に保ち攪拌を続ける。
マッシュアウト
 77度に昇温して、糖化終了。
ろ過鍋に移送
 できるだけ空気を巻き込まないよう注意する。
ろ過前の静止
 攪拌を停止して、10分間静止。
初流戻し
 濁っている初期の麦汁は仕込み鍋に戻す。
ろ過    ろ過中の麦芽ベッド   
 あせらず、ゆっくりろ過する。
 雑草の香りが・・・素晴らしい。
煮沸
 ろ過後は煮沸工程。ホップを加えて90分間強く煮沸する。
ワールプール   鍋底に集まったホップ粕や澱
 煮沸を終えたらワールプール。麦汁を回転させてホップ粕や澱を鍋底の中央に寄せる。
Kegに移送
 発酵容器、5ガロンのソーダーKegに移送する。この時点ですでに、Weizenタイプビール独特の濁りが出ています。
冷却
 発酵温度の20度まで素早く冷却する。
酸素吹き込み   酸素
 冷えたら麦汁に酸素を溶解させる。
発酵
 酵母を投入してエアロックを取り付ける。気温がちょうど20度なのでそのまま放置。

完成

 麦雑穀工房マイクロブルワリー特有の「ドブロク風ビール」です。
雑草のような青臭さが感じられると好評でした。