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2010年春
精米麦機とコンデンサ起動モータの構造


精米麦機

 2010年春、知人から精米麦機をいただいた。精米ばかりでなく精麦注)もできる。
 コンパクトである。これまで麦雑穀文化で生きてきた私には夢のような機械だ。どのような構造になっているのかたいへん興味深い。いただいた翌日、さっそく解体してみた。
 この精米麦機はコンデンサ起動モータを装備している。このモータの構造も興味ある。
 注)精麦=麦を精白する。製麦=麦芽づくり。

グローリ号

ホッパー
 ホッパー。つまり、下方へ出すために使うじょうご形の容器。ここに穀類を投入する。投入した穀類は右の穴に吸い込まれてゆく、その吸い込み量を手動で調節する弁がある。吸い込まれた穀類は精白回路を経由して左から出てくる、出てくる量を手動で調節する弁もあり、出側の弁を閉じる方向に回すと精白回路に圧力がかかってヌカやフスマなどが剥ける。

分解開始

ホッパー下部
 上下反転状態。ホッパーからこの螺旋シャフトに落ちてきた穀類を左の臼部に送り込む。この螺旋シャフト部こもいわゆるフルイ機能の網が装着してあるので、ここでもゴミを排出する。

ここが心臓部
 上下反転状態。螺旋送り機構によってこの部分に溜まった穀類に圧力を与えて籾殻やヌカ、フスマなどを剥離する。つるつる滑る硬い麦皮を剥ぐために、精米機能だけの場合と比べると、明らかに異なった構造。普通の精米機には中央部の二枚歯がない。

排出口
 上下反転状態。精米精麦を終えた米麦粒を取り出す排出口。丸い穴が開いている左下の金具をスライドして開閉する。

網を取り付ける
 上下反転状態。きれいに磨いた網の取り付け。上は本機の心臓部、臼。下はホッパー部の網。組み付け前に真鍮ブラシで磨く。

コンデンサー始動モーター

 比較的大きい馬力のモーターは三相動力で駆動させる「三相モーター」が普通。「三相モーター」は三相巻線のみで回転磁界を得られるためモータの構造は単純だ。ところが、単相のいわゆる電灯電源そのままでは回転磁界が得られないため、コンデンサーを使って擬似的に異なる位相の電流をつくらねばならない。方式は二種類ある。常にコンデンサーを接続したままの方式と始動時のみ接続する方式。このクラスの馬力のモーターは後者、始動時のみコンデンサーを接続する方式を採用している。この方式はいいかえれば、ある程度の回転数に達するまで、コンデンサと擬似巻線で異なる位相の電流を生じさせて、回転方向を安定させているのだ。
  つまり始動時、コンデンサーの接点が閉じて、ある程度の回転数に達した時点で接点が開く、そういう仕組みを備えている、これが「コンデンサー始動モーター」。

銘版にはSINGLE FHASE INDUCTION MOTOR CAPACITOR-STARTとある。

回転子を抜く
 長い4本のネジを外して、両側の軸をていねいに外して回転子を抜く。

回転子
 黒色の絶縁円盤とその奥に設置してある金具で遠心力クラッチを構成している。

接点
 いわゆる「ポイント」あるいは「スイッチ」。コンデンサーを接続する/接続しない、を切り替える。ある程度の回転数に達するまでこの接点を閉じる。前出の遠心力クラッチでそれを自動制御する。切り替えの際に火花が出るので、この「ポイント」はカーボンや塵が付着しやすく故障の原因になる。今回は、この周辺を掃除して「ポイント」をヤスリで磨いた。

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