麦雑穀工房マイクロブルワリー

2012年
自然力の雑穀類
アマランサス、アワ、キビ、ネコジャラシ、ヒマワリ、金ゴマ、大豆


 今季ここに掲載する雑穀類はアマランサス、アワ、キビ、ヒマワリ、金ゴマ、大豆。それに、今年もはびこるはずのネコジャラシ(エノコロ草)。
 麦跡にクローバーが繁茂している。あらかじめ畝にする部分だけクローバーを刈払いした後、作条をけずり、種まきを6月30日から7月2日にかけておこなった。

7/20 梅雨明け 7/31 猛暑日と草管理 8/7 ヒマワリとゴマの花
8/26 猛暑日が続く 9/29 ネコジャラシ収穫 9/30 雑草の勢い
10/19 アワとキビを刈払 10/26 ゴマの脱穀と調製 11/5 アマランサス収穫
11/19 大豆収穫中 11/20 アマランサス脱穀 11/27 青山在来を脱穀
12/19 丹波黒を脱穀 12/29 あとがき−地力と腐植−  

J2012年7月20日 梅雨明け
 今季は6月から7月にかけて、かなりの雨量があり、雑穀類や雑草の発芽と生長に好都合だった。写真左端から、アマランサス。たくましい生命力があるので放任栽培できる。とはいえ、間引きを実施している。
 今季、アマランサスは種を入れ替えた。先だって自然農法国際研究開発センターから分けていただいた立穂赤という品種だけを蒔いた。発芽のときからすでに茎葉が赤い。これまで長年栽培してきたアマランサスにも、ちらほら赤穂の株がでていた。毎年、赤穂の穀粒だけを選んで翌年蒔いてきたのだが、赤穂株の割合が期待するように増えなかった。繰り返して、アマランサスはたいへん生育旺盛。大きく立派な穂をつける。どうせ目立つほどに大きいなら、地味な色よりも派手な色がいい、というわけだ。今後、ほかのアマランサスと混ざらないように、交雑しないように注意を払えば、畑が一面赤い穂で染まるのだろうか。楽しみ。
 アワは埼玉在来。在来種の種を保存しておられる東京学芸大学の木俣教授に、雑穀発泡酒を共同開発した際、お願いして、2010年に頂戴した。12列の作条を2度けずった後、種を蒔いた。しかし今、雑草と区別できない。気休めを承知で、畝間とみられる部分を刈払いしておくか。
 アワに隣接してキビ。アワ同様に12列、作付けた。キビはこの畑で15年以上前から栽培しているモチ種。当初は雑草対策や雑草管理をなにもせずとも、放任でよくできた。しかし近ごろ、アワ同様に、雑草と競合するようになってきた。これも、畝間とみられる部分を刈払いする予定。
 ヒマワリは何度も種を蒔いたものの数えるほどしか発芽が確認できなかった。ところが、苗床に蒔いたところ、はほぼ100%発芽して育った。間引きせず、徒長しても密生したまま育てて移植した。左から2番目の写真、アワとクローバーの間に2列、ほかの畝を合わせて、およそ300本育っている。この写真では、雑草に埋もれて、まったく確認できない。ヒマワリは生育が早いので周囲の雑草にせり勝って育つはず。
 今季蒔いたヒマワリはすべて採油向き。早稲で背が低い。2011年にビーチャレの大麦収穫祭に霜里農場に蒔いた種を継承。去年収穫した種がまだたくさん残っている。油を搾って見ようか。しかし、どのように搾るか。7トンのプレス力を誇る薪割り機が活用できるのではないかと思っている。とすれば、うまいシリンダーを探さねば。
 右から2番目が金ゴマ。一般にでまわっている品種。これも、たくましい生命力がある。アマランサス同様に放任栽培できるにしても、この13日ころから葉が重ならない程度に間引きを実施。くわえて、17日には土寄せをやった。この時期だけでも、株の周囲の雑草を抑制させるのが狙い。だが、株の周囲の土が露出したままになっている。
 大豆は小川の在来種、青山在来。枝豆で食べると香りよくたいへん美味しい。ここに3列、ほかの畑にも2列蒔いた。大豆は草管理が不可欠。草が繁り、草が勝ると実が付かない。そこで、ここの左1列だけ試しに土寄せを実施してみた。金ゴマ畝同様に、株の周囲の土が露出している。が、株の周囲の雑草の勢いが一時ではあるが抑えられた。
 それにしても、アワ/キビと同類の雑草が増えてきた。ネコジャラシやメヒシバを歓迎しているのも一因か。とはいえ、それは自然に繁茂してきた雑草である。大量の種をおとした彼らは作条を2度けずった後でも、アワ/キビよりもわずかに早く、アワ/キビよりも大量に発芽、生育する。幾度作条をけずっても同じように発芽、生育するだろうと思える。今、ここの畑環境で、この栽培法では、アワとキビが圧倒的多数の彼らに負ける。この対応策のひとつになるだろう、来年こそ、移植栽培に挑戦してみよう。

最初の間引きを実施したアマランサス 雑草と競合。右にヒマワリが二列、その左にアワが12列 東屋を境に左に12列蒔いたキビ 間引きと土寄せを実施した金ゴマ 大豆(青山在来)3列。左の列だけ土寄せを実施

J2012年7月31日 猛暑日と草管理
 ここのところ猛暑日が続く。遅くまで西日の射す雑穀畑はカラカラに乾燥した。雑穀類は耐暑性、耐干性に強いのは事実としてもまだ幼苗期。移植苗や生育が遅れた部分は葉が萎れて枯れはじめたものもある。ひと雨ほしい。
 写真は左からアマランサス、アワ、キビ、ヒマワリ、金ゴマ、大豆。
 まさかこれほど猛暑日が続くと思わないから、この20日、アマランサス、ヒマワリ、金ゴマ、大豆、それぞれ風通しをよくする目的で周囲のクローバーを刈払いした。25日には幼苗の周囲の草管理を実施した。ただしアワ/キビは畝数が多いのでそれぞれ5列だけ実施、残りは放任。
 雑穀類の草管理。畝が長い。この季節、ここは鎌で刈りとる体力がないから機械に頼る。刈払い機での作業である。小径の刃に替えて低速でまわしても、たいへんおおざっぱな仕事になる。苗の近傍にある草はそのまま残るし、残すべき幼苗であっても相当量カットしてしまう。虫たちが逃げまわる。カエルやヘビが縮こまっている場合もある。一応、彼らの生活環境のかく乱を少しでも押さえようとする気持ちをこめて、歯の高さが地面から少なくても5センチ以上になるよう心がける。そんな仕事でも、放任よりはいいように思える。ヒマワリ、アワ/キビ、それぞれの畝が確認できるようになった。

アマランサス アワ キビ ヒマワリ 金ゴマ 大豆(青山在来)

J2012年8月7日 ヒマワリとゴマの花
 2種の雑穀類が開花した。写真左端のヒマワリと右端の金ゴマ。
 左2枚の写真は第二農場、おもに野菜畑になっているが、ときどき麦や雑穀も育つ。左端の満開のヒマワリは5月30日に種を蒔いた。大滝インゲンと混裁している。その右の写真は町道面よりひと畝さがった列に育つヒマワリ。
 第二農場前の町道は集落に通じる大通り。その大通り接した畝には雑多な宿根やこぼれダネで育つ、いわばワイルドフラワー化した草花が季節ごとに咲く。そのワイルドフラワー畝よりひと畝さがったところに例年、花を楽しめる作物をつくる。今年はこのヒマワリ。今、草丈30センチほど。およそ100本が育つ。密生すぎるか。実はこのさらに1列奥の畝には黄色い大きなツボミがいくつか見えている。これは霜が降りるころまで大輪の花咲く、花オクラ。詳しい花オクラの食べ方
 右2枚の写真は第一農場、おもに雑穀が育つ。左がヒマワリ、2列。右端が金ゴマ。金ゴマの花はうすいピンクなのだが、日の出前の撮影だった。日の出前の撮影も曇り空のときと同様に、肉眼でみたのと違った色彩に写るときがあるのか。そういえば、見晴らしのいいところでの夜明けに、空や海などあたり一面の色彩が刻々と変化したことがあったっけ。

大滝インゲンと混裁のヒマワリ 町道に面して育つヒマワリ 雑穀畑のヒマワリ ゴマの花

J2012年8月26日 猛暑日が続く
 猛暑日が続く。まさかこれほど猛暑日が続くと思わない、と書いてから一ヶ月近く経った。この間、二度雨が降ったものの翌日の日照りでたちまち渇いた。これほどの渇きと日照りにあうと、干ばつに強いといわれる雑穀にあっても生育に影響がおよぶ。
 写真は左からアマランサス、アワ畝、アワ(ズームアップ)、キビ畝、キビ(ズームアップ)。下段左から雑穀畑のヒマワリ、町道面に近い畝のヒマワリ、金ゴマ、大豆。
 畝間の草刈りを実施したので、畝の場所がわかる。ところがズームアップしてみると干害が明確。作物、雑草ともに、よくみても薄モエギ色がいいところ。葉の先端がキツネ色からカバチャ色。育ち盛りのアワとキビだが、背丈が一ヶ月前と変わらない。さすが、照りゴマの異名をとる金ゴマは大丈夫そうにみえる。たしかに、根をしっかり張って、競り勝ち、大株に育った個体は開花・登熟中。しかし、小ぶりの株が枯れている。ヒマワリも同様。開花中の株があるにはあるものの、葉が痛み、小ぶりの株は枯れる。
 この時節、小川−熊谷ベルト地帯の猛暑と乾燥が常態化してきているわけだから、来年からはこのきびしい気候に応じられる措置をとっておこう。ゴマとヒマワリに学んだ。この季節がくるまでに、一定の大きさに育ち、大地にしっかり根を張るよう、作付けを工夫すること。

アマランサス アワ畝 アワズームアップ キビ畝 キビズームアップ
ヒマワリ ヒマワリ 金ゴマ 大豆(青山在来)

J2012年9月29日 ネコジャラシを収穫
 ネコジャラシを収穫した。数日前から、そよ風に揺れるだけでもパラパラと脱粒する音が聞こえていたので、収穫をいそがねばと気にかけていた。今朝、夜露の水滴がほぼ蒸散するのを待ってから刈り取って、すぐさま脱穀した。収穫作業を短時間のうちに済ませた格好にになった。昨日から明日まで二代目がつくばクラフトビアフェスト2012に出張なのでこの間、工房の留守番になる。脱穀したネコ粒は工房の駐車場の片隅に止めた軽トラの荷台に広げて乾燥させよう。
 写真は左から収穫中。ネコジャラシの根元に生えているのは白クローバー。
 中央が脱穀中。軽い穀粒はゴミとともに吹き飛ばされる。
 右が脱穀機の穀粒排出口。ここには比較的しっかりしたサイズの穀粒が出てくる。
 今年のネコジャラシは、ほかの畝に比べて、二条大麦跡にたくさん繁茂した。他の畝にもあるにはあるものの、茎に水分の多いメヒシバの穂の方が威勢がよいので収穫してもハザ掛け乾燥の手間がかかるから、それらの畝の収穫は敬遠した。

エノコロ草の刈り取り 脱穀 排出

J2012年9月30日 より勢いのある雑草
 雑穀類の種を蒔く前から育っている雑草はさすがに、ここにきて勢いを取り戻した。この季節に栽培する作物の多くは草管理が欠かせない。しかし、高温と日照りの今季はむしろ雑草の存在が熱暑と乾燥を和らげると考えて、これ幸いと草管理を怠った。とはいっても、このことについては今季に限らないのだが。まあ、雑草も貴重な資源なのだとして、ここではこれ以上深入りしない。
 左からアマランサス、アワ畝、アワ(ズームアップ)、キビ(ズームアップ)、ヒマワリ。下段は左からヒマワリ(ズームアップ)、ゴマ、ゴマ(ズームアップ)、大豆、大豆(ズームアップ)。
 すべての雑穀類の株がこぶり。日照りを好むヒマワリやゴマですら背丈が伸びない。とはいっても一応、実が入った。種を確保できそうである。

アマランサス アワ畝 アワズームアップ キビズームアップ ヒマワリ
ヒマワリズームアップ 金ゴマ 金ゴマ 大豆(青山在来) 大豆(青山在来)

J2012年10月19日 夏草とともに刈払いしたアワとキビ
 アワとキビを夏草とともに刈払いした。収穫を終えたゴマ跡やジャガイモ跡などに繁茂したクローバーも同様に刈払った。麦まきの準備である。
 写真は左端から・刈り払ったアワ。・刈り払ったキビ。・大豆(青山在来)。・大豆(青山在来)ズームアップ。・収穫期を迎えるアマランサス。右端が・刈り払ったメヒシバやエノコロクサ。
 今季はヒマワリ、アワ、キビの収穫作業をパスした。種まき直後からの高温と雨不足の影響で穂が小さく実入りが少なかった。干ばつに強い作物たちのはず。大地にしっかり根を張ってからの日照りならばこれほどの影響がなかったかも知れない。このような気候が定着してゆくのかどうか。来期は種まき期を早めてみようかと思っている。
 大豆(青山在来)は今、枝豆が旬。畑をみるとメヒシバに覆われて、畝の位置が見えない。干ばつの影響で着莢しないかと思っていた。が、ズームアップしてみるとけっこう実が入っている。この青山在来は小糸在来に似て、甘くて香りがよい。茹でているときから素晴らしい香りが漂う。在来種の大豆は香りよく、たいへんおいしい。

アワ キビ 大豆
大豆ズームアップ アマランサス 夏草を刈払いした畝

J2012年10月26日 ゴマの脱穀と調製
 ここ数日、晴れて乾燥しているのでゴマを脱穀して調製した。夕方になって、ライ麦の種まきもおこなった。
 ゴマを刈り取り、ガレージの波板屋根裏に干したのが9月27日。ちょうど一ヶ月経った(写真左端)。カラカラに乾燥した。叩かずとも莢を下に向ければ脱穀できる。調製の道具は網目2ミリほどのフルイと送風機。送風機として、使い古した空気清浄機を使ってみた(写真右端)。ジョウゴを活用して調製物を落とすと、均一に風があたって、うまくいく。この後、手箕選をやるものの水洗いはやらない。

屋根裏でゴマを乾燥 ゴマの脱穀 選別後のゴマ 選別器具

J2012年11月5日 アマランサス収穫
 アマランサスを収穫した。たたくと穀粒が落ちる。収穫期である。左端の写真=奥に立ち姿のアマランサス、手前に鎌で刈り倒したアマランサス。茎葉に多量の水分を含んでいるので、しばらくハザ掛け乾燥をする。茎葉がカラカラに乾いたら、例年のように脱穀機にかけようと思っている。
アマランサス収穫中 アマランサスをハザ掛け

J2012年11月19日 大豆収穫中
 小川の在来種、青山在来。茎ごと収穫して、ハサ掛けないしムシロ代わりの受け枠に広げて天日乾燥をする。カラカラに乾いたら人力で脱穀する予定なのだが。期待よりもたくさんできているし、草をかきわけての収穫に手間どっている。脱粒してしまう前に終えたい。
大豆収穫中

J2012年11月20日 アマランサスを脱穀
 谷津沿い特有の上昇気流に枯れ葉が舞い、冬の気配を感じるようになった。この時期には周期的に前線が南下して晴れ間が続かない。であってもここ一週間、降雨がなく、アマランサスがカラカラに乾燥した。脱穀のタイミングである。
 左端の写真から・ハサ掛けしたまま穂だけを切り取って、脱芒機(籾ピカ)で脱穀した。籾ピカに投入できる穂の容量はバケツ半分ほど。普通の脱穀機で米や麦を脱穀する際のように素早く作業ができるものではない。それでもけっこううまく脱穀できた。
・排出されたゴミ。穀粒も出たか。ゴミの排出口は小さい。籾ピカは砕かれたゴミだけを排出する。したがって、このように細かいゴミだけの山ができる。では大きなゴミはどうなるのか。大きなゴミは投入しないのがよい。むろん、大きなゴミを投入すれば、砕かれるはずだが。それは完璧に乾燥していればこそ。刃物で砕くわけではなく、やさしく棒でたたくのだ。私が籾ピカでビール麦を調製するゆえんである。
・右端は脱穀後ふるいで選別してさらに風選をおこなったアマランサスの穀粒。まだゴミや虫の糞がまざるから、ゴマ同様にヒマをつくって手箕選をやる予定。

脱穀したアマランサス アマランサスのゴミ もう一度風選

J2012年11月27日 大豆(青山在来)を脱穀
 かなり風が強いが快晴。大豆がカラカラに乾燥している。脱穀日和である。
 かつて、米麦用の脱穀機を利用したことがある。いくぶん豆が割れたように記憶している。しかし、あのときの大豆とは品種が違う。青山在来である。ことによったらいまくいくかも知れない。期待して先日、脱穀機に通してみた。うまく脱穀するものの、1割ほどの豆が割れる。それに、豆が跳ねてあっちこちに飛び出る。工夫すれば何とかなるにしても、それに手をかけるほどのカサがあるわけでもない。そこで「容器内足踏脱穀」をためした。うまくいく。
 写真左端から。
・いつも軽トラに積んであるプラスチック製ストッカーを利用。これに茎ごと詰め込んで、両足で踏みつければ脱穀できるはず。名づけて「容器内足踏脱穀」。
・両足で踏む。数回踏んだら、大豆莢を上下ひっくり返して、踏む。これを幾度か繰り返す。
・容器の底にたまる大豆。大豆莢の位置を変えて、両足で踏むことで、大豆が容器の底に落ちていく。
・容器の底には細かいゴミもたくさんたまるので風選の必要がある。今日は風が強い。風向きが一定ならば自然の風で風選できるのだが。ここの風は谷津特有のつむじ風が当たり前。コロコロ風向きが変わる。まして強風ではどうにもならない。風選は後日になる。

収納容器で脱穀 両足で踏む 容器の底にたまる大豆 風向きが変わる

J2012年12月19日 丹波黒を脱穀
 クヌギやサクラやの落葉が地面を覆うこの季節、おくてのコナラやクロモジ属の葉が枝から離れて舞いあがり、空からふってくる。つむじ風のしわざである。無風のようなときでさえも、ここでは上昇気流が生じる。そんななか、緑麦芽を天日乾燥しつつ丹波黒を脱穀した。
・写真。脱穀した丹波黒。来年の種の分を確保した。カラカラに乾燥している大豆の脱穀は簡単。それも少量。手のひらで握っただけで脱穀できる。

丹波黒の脱穀



2012年12月29日 あとがき−地力と腐植−
 8月26日のタワゴトをくりかえすと。かいつまんで、梅雨明け後の日照りに耐えられる作付けをおこなう、のようなことだった。まさかこれほど猛暑日が続くと思わない、ともある。百姓を自認するものがそんな赤恥なことを書いたのか。

 いかに自然豊かなこの国にあっても動かしようのない作付け環境がある。この環境をつくるのは日、土、水。人類の介入もそれに盛り込むか。ともかくそれらに関して、ぼやいても致し方ない事象があったにしても、わたしたちは当該環境とつきあう処方を見出して、可能な限り改善する。それはいわば自然に逆らう行為にほかならなくともである。そうした根源的な事項と複合するため切り分けられないのが、どのような作付け環境であろうとそれらの行為と並行して取り組むべき事項が、地力の向上活動である。地力が向上すれば、その不都合さが常識の範囲内のものならば、その影響を大きく和らげる可能性がありえるからだ。
 地力は環境総体の相互作用のたまものである。端的に、その相互作用の結果として指標化しやすいのが腐植の量。つまり地力の指標は腐植の量となる。ここでは地力と腐植との語用が同等。したがって、いかにして腐植を蓄積するか。いかにして腐植を消耗させないかが課題になる。これは、作土薄く心土母岩質のわが農場においてはきわめて重要な要素になっている。
 耕起や土の露出は腐植を消耗させることによって一時的に養分を放出させるにすぎない。したがって、この視点からも具体的方法として、不耕起と草生が望ましい。そして、ほかからモノを持込まずに腐植の蓄積をはかるには、イネ科とマメ科を作付けして、還元してゆく。現状の地力であってもある程度の収量を得る工夫をしつつ。そこから多くは持ちだせない。先達の教えをそのようにとらえているし、それがおもしろく楽しいはずだと思っている。徐々にではあっても効果がでるのではないか。これまでそのようにやってきた。いやしかし、ひとつ問題があった。麦莢のすべてを茅葺に変身させている。解決策を考えねばならない。


 麦雑穀工房マイクロブルワリー